大切な人とお別れをする葬儀には、「一般葬」「密葬」「直葬」「家族葬」といった、さまざまな種類があります。また、いわゆる「家族葬」との違いも含めて解説します。
葬儀の種類には、「一般葬」「密葬」「直葬」「家族葬」など、さまざまな種類があり、親族の人数やサービスによって費用も全く違います。
葬儀会社を決める上で重要なのは、どのようなイメージの葬儀を行い、誰を呼び、予算がいくらかによって変わります。しかし、一般的に故人がお亡くなりになってから、2時間以内に葬儀会社を決める人が多く、どうも十分に内容を把握せずに急いで決めてしまうこともあるようです。
また、葬儀会社や葬儀形式を決めることは、さまざまなトラブルに発展する可能性もあるため、注意が必要です。生前に故人と葬儀について話をしてるのであれば良いのですが、突然の場合は、残された遺族の意思だけで慌ただしく決めなくてはいけないからです。
後悔しない最後のお別れをするために、これから解説することに注意して納得のいく葬儀にしましょう。
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密葬、家族葬、直送の違い
「密葬」とは、一般の会葬者を呼ばず、親族だけで行う葬儀のことです。これを最近では「家族葬」とも呼び、葬儀会社にプランが用意されています。
「直葬」とは、通夜・葬儀・告別式を行わず、親族だけで火葬のみ行う葬儀のことです。「火葬式」と呼ばれる、もっとも簡素な葬儀の形式です。
現在の葬儀を大きく分けてみると、以下のような種類があります。
- 一般葬
- 密葬(家族葬)
- 直葬(火葬式)
- 友人葬
- 社葬
今回は、親族のみで行う「密葬(家族葬)」と「直葬(火葬式)」について解説します。
葬儀の流れと特徴
「密葬」「直葬」では、葬儀の流れや注意点が異なったり、メリット・デメリットもあるのでご注意ください。
まず、葬儀の流れで共通するものは、「お迎え」「安置」「納棺」「出棺」「火葬」「骨上」げです。また、どちらも葬儀後は、事務的な公的手続、相続手続等を行います。市区町村によっては葬祭費用が支給されますので役所に申請しましょう。
臨終
臨終後は、すぐに葬儀会社を選びます。葬儀会社を選ぶ際は、搬送・葬儀の準備・各種事務手続きまで行ってくれる葬儀会社かどうかに注意し、費用の内訳もしっかり確認して、納得できる葬儀会社を見つけてください。
その後、亡くなられた場所を伝えて迎えにきてもらいます。病院の場合は、その場で「死亡診断書」を発行してもらいます。自宅の場合には、事件性がないか警察によって検視が行われることがあります。ご自分で移動させたりしてはいけません。
お迎え、安置
自宅か葬儀会社の安置所に搬送します。法律により逝去後24時間は火葬することができないため、葬儀会社の寝台車で安置できる場所まで搬送します。搬送後は担当者と火葬場や僧侶の手配などについて打ち合わせをします。
お迎え・安置の際は、寝台車・ドライアイス・安置室料・枕飾り・役所への手続が必要で、一般的には基本料金に含まれます。
納棺
故人を仏衣で包み、棺へ納めます。納棺に必要なものは、一般的に基本料金に含まれますが、エンバーミングをするかどうか選択できる葬儀会社もありますので相談してみましょう。
「エンバーミング」とは「遺体衛生保全」のことで、遺体を「防腐」「殺菌」 「修復」することで、必須ではありません。
通夜、葬儀・告別式(密葬の場合)
葬儀会社のプランによってさまざまですが、基本的に会場使用料・祭壇・遺影・霊柩車・火葬料・通夜料理・精進料理・会葬礼状が基本料金に含まれており、通夜・告別式の進行も専門スタッフのサポートがあります。
出棺
出棺の際には、お花や故人が好きだったものを棺に納め、お別れの時間となります。ただし、不燃物などは担当者に確認が必要です。
その後は、霊柩車にて火葬場へ向かいます。火葬場までの距離によっては別途追加費用がかかる場合もあるのでご注意ください。
火葬、骨上げ
火葬を行う前には、炉前にて僧侶に読経をしていただきます。火葬が終了するまでは、約一時間かかりますので控室で待機します。
火葬後は、遺骨を骨壷に納める「骨上げ」を行います。喪主から順番に血縁の深い順に、二人一組でお骨を同時に骨壷に納めます。
精進落し(密葬の場合)
火葬場から戻ったあとは、仏式であれば初七日法要を行うことが増えており、最後までお付き合い頂いた方には会食として精進料理が振る舞われることが多くなっています。一般的に精進料理も基本料金に含まれます。
メリット・デメリット
「密葬」と「直葬」を比較した場合、以下のような点も異なります。
費用
費用の目安は「密葬」が30万円から、「直葬」が10万円からです。形式によって大きく違うため、葬儀を考える上で最も重要なポイントとなります。
しかし中には、5万円〜といった格安プランがある葬儀会社もありますが、あくまで基本料金だけ提示している可能性があります。葬儀場所、人数、車両、搬送距離、安置日数によって葬儀費用は大きく変わると考えていてください。
挨拶回り
「密葬」では、葬儀での挨拶回り・受付の設置・さまざまな対応が必要なため、少々慌ただしいです。その点、直葬の場合は親しい間柄の人とゆっくり過ごすことができます。
香典返し
「密葬」の場合は、葬儀後すぐに事務の引き継ぎをします。引き継ぐものは芳名帳、香典帳、香典、供花・供物帳、弔辞・弔電、支出金の領収書などです。その後、挨拶回り、香典返し・御礼状の送付も必要なため、葬儀後も何かと忙しいと言えます。
トラブルへの対応
親族のみで行う「密葬」「直葬」で、よくあるトラブルが、親しかった友人知人から、参列できなかったことに対する不満苦情で、これほど悲しいことはありません。なるべく事前にご連絡をして、別に弔問の機会を設けるなどの対応が必要となります。
納骨
菩提寺と付き合いのある方は、宗教的儀式である通夜・葬儀を省略した「直葬」を行うことによって、納骨を断られる可能性があります。菩提寺には事前に「直葬」を行うことを相談したほうが良いでしょう。
後悔しないお別れをするために
「直葬」という形式は、費用も安く親しい親族だけで火葬を行えるので、近年は非常に人気があります。
また、時代とともに従来のお葬式の形式にとらわれない新しい儀式が増えてきているため、「葬式=通夜・葬儀」という考え方も次第に変わりつつあるということですね。