急なお通夜・お葬式があるときに、ついつい忘れがちになってしまうものに御香典があります。いざ、御香典袋を買いに行っても、種類が多くどれにしたらいいのか迷いますし、正しい書き方が分からなくて、困ってしまうこともあるのではないでしょうか?
御香典袋の書き方やお金の入れ方には、地域によって多少異なる場合もありますので、ここでは必要最低限な一般的マナーをご紹介していきます。
Contents
御香典袋の「種類」と「書き方」に注意
御香典袋の種類
まず、御香典袋には格があり、入れる金額によって使い分けます。一般的に水引が印刷されたものは簡易タイプとされ、使用する紙が高級和紙になれば最も格が高いタイプとなります。
¥5,000まででしたら、水引が印刷された簡易タイプのものでも失礼にあたりません。
¥5,000〜¥30,000であれば、白黒か双銀の水引が付いたもので、結び切りでもあわじ結びでもどちらでも構いません。(下図左は、白黒のあわじ結び)
¥30,000以上となれば、豪華な水引がついた高級和紙のものが使われます。
あくまで、入れる金額と御香典袋のバランスが大切です。入れる金額についてはコチラを参照してください。
次に、宗教・宗派によっても種類があります。仏式・神式であれば水引がついたもの、キリスト教式であれば十字架がついたものです。上書きはすでに印刷されたものが販売されていますが、仏式・神式・キリスト教式では上書きは異なります(下記参照)ので注意して選びましょう。事前に宗教・宗派が知らされていれば良いのですが、もし、分からないければ、どの宗教・宗派でも使用できる「御霊前」で構いません。
外袋 | 宗教・宗派 | 表書き | 水引 | ||
---|---|---|---|---|---|
上書き | 名入れ | 結び方 | 色 | ||
仏式 | 御霊前、御香典、御香料、御仏前 | 下記 参照 |
結び切り あわじ結び |
白黒 双銀 |
|
神式 | 御霊前、御玉串料、御榊料、御神前 | 下記 参照 |
結び切り あわじ結び |
白黒 双銀 |
|
キリスト 教式 |
御霊前、御花料、御ミサ料 | 下記 参照 |
なし | なし |
外袋の「表書き」
では、ここからは書き方のお話に移ります。
まず、御香典袋の表書きの下部には、ご自身の名前(名入れ)を上書きより少し小さめの字で記入します。一般的に筆ペンで記入するのですが、薄墨タイプの筆ペンであればなお良いです。これは昔からの風習で「突然の訃報で墨を濃くする時間がなく、慌てて薄墨で書いた」「涙で滲んでしまった」という意味が込められていることが起源です。ボールペンはやめましょう。
個人であれば、ご自分の名前だけ記入すれば良いです。
しかし、ご夫婦や2人以上が、ひとつの御香典袋でお渡しする場合は「連名」と言い、名入れにもマナーがあります。
ご夫婦であれば、夫の姓名と妻の名を記入します。また、3名までであれば、目上の人から、または五十音順に右から左へ記入します。4名以上の場合は、右から左へ代表者と外一同と記入するか、団体名のみ記入します。その際は、別紙を用意し、団体名と全員の氏名・住所・金額を記入したものを同封します。
名入れ | ||
---|---|---|
人数 | 書き方 | |
個人 | 上書きの文字より少し小さめに記入します。 | |
連名 | 夫婦 | 右から、夫(姓名)・妻(名のみ)を上書きの文字より少し小さめに記入します。 |
1〜3名 | 右から、目上の人、または五十音順に記入します。 | |
4名以上 | 右から代表者・外一同を記入します。
(この場合、別紙に会社名と全員の氏名・住所・金額を記入したものを同封します。) |
|
または、団体名のみ記入します。
(この場合、別紙に団体名と全員の氏名・住所・金額を記入したものを同封します。) |
中袋の「裏書き」
次に、御香典袋を購入すると中袋もセットになっているのですが、地域の風習や慣習によっては中袋自体を使わない場合や、金額を表裏どちらに書くかも異なります。もし、ご一緒に弔問する方がいるのであれば、相談してみましょう。
中袋には氏名・住所・金額を記入しますが、金額を記入する際は、旧字体の漢数字を使用し、¥5,000であれば「金伍阡円」としてください。また、市販の御香典袋には、あらかじめ記入箇所が設けられているものもあります。
中袋 | 表書き | 裏書き |
---|---|---|
なし(金額) | 住所/氏名/(金額) |
お金の入れ方にもルールがあります
お札の向き
中袋へお金を入れる向きは、中袋の裏側にお札の表側、中袋上部に金額が書かれた部分がくるように入れます。開けた人がすぐ金額と枚数を数えやすいうえ、香典袋の表側には、お金の裏側がくるので「顔を伏せる」という意味も込められます。
また、何枚もお札を入れる場合は、同じ向きになるように揃えましょう。
袱紗(ふくさ)に包む
一般的に、御香典袋は袱紗(ふくさ)というものに包みます。袱紗の色には注意が必要で、慶事の場合は暖色系ですが、お通夜・お葬式といった弔事の場合は下記のような寒色系のものを使いましょう。また、紫は慶弔どちらでも使用できますので、1つ持っていると何かと便利です。
袱紗の種類には、金封タイプ(お財布のようなタイプ)、台付きタイプ(布上の袱紗に御香典袋を固定する台が4ヶ所あるもの)、爪付きタイプ(布上の袱紗に包んだあと爪と留め糸で固定できるもの)などがありますが、用意できなければ寒色系のハンカチでも良いとされています。
最後に
最低限のマナーさえ覚えてしまえば、あとはその都度、故人の宗教・宗派・慣習などに合わせるだけです。また、ご一緒に弔問される方がいれば、個人でお渡しするか連名にするか事前に相談することも大切です。特に仕事関係の場合は、連名にする場合が多いので、総務や担当者に確認してみましょう。
「御香典袋の書き方・お金の入れ方」は、あくまで葬儀マナーの1つに過ぎませんが、故人のご冥福とご家族へのお悔やみの気持ちを添えて、失礼のないようお渡しすることが肝心です。